Royal "we"

BBC等で注意深く聴くと、Elizabeth IIが自分の事を"we"と云っているのが分かります。普通一人称には"I"が用いられるのが通例ですが、何故"we"なのでしょうか。

以前は王室を筆頭に君主らのお偉い様方は「民から尊敬を『多く』受ける」という事から"I"の複数形である"we"を用いたのだそうです。「尊敬が一杯」という事ですね。分かりづらいのでいくつかの例を挙げてみますと"waters"や"earths"というのがそうですね。今では不可算名詞("earths"では[電]アース線と[化]土類の意で用いるのは例外)として用いられるので複数の"s"は見慣れないと思いますが前者から「水が複数→水が沢山ある→広い海」「土地が複数→土地が沢山ある→広大な地面」という意味になります。何も知らないと「キリスト教って多神教だったっけ?」と思わされてしまう表現"Gods"が欽定旧約聖書に出て来ますがこれも同様に考えて「神様を尊敬する気持ちがいっぱいある」事を表現しているようです。

ついで話。

"I"→"we"
"he""she""it"→"they"


とそれぞれ単数形に対して複数形があるのに対して何故

"you"→"you"

と"you"は単・複同じなのでしょうか。 以前"you"というのは"thou"の複数形として用いられていました。しかし、先に述べたRoyal"we"に見られるように一人の人に対して複数形を用いるという事もあった為、『意味が似た単語はどちらかが淘汰される』という法則に乗っ取って「複数」且つ、例外的なりにも「単数」にも用いる事が可能な"you"が残り"thou"が淘汰されたという訳です。

"Thou"が淘汰されてきたのはShakespeareの時期位。ちなみに、彼の書いた"Romeo and Juliet"にて当初JulietはRomeoに対し"you"と呼び掛けていたのが後半では"thou"となっています。親しみ度が上がったからなのでしょうか?(含み笑)

戻る